Menu
分析・評価・観測群 電子顕微鏡・TEMチームは、2025年5月21日(水)および22日(木)にチーム研修を実施しました。本研修では、多元物質科学研究所と産学連携先端材料研究開発センターにてEBSD測定用試料の樹脂包埋・機械研磨およびEBSD測定の実技を行い、東北先端顕微鏡センターにて原子分解能観察の実演を行いました。本研修は、樹脂包埋・機械研磨のスキルを持つ職員が少なく、特に、研磨の中でも難易度の高いEBSD試料の前処理方法についてチーム員から研修開催の要望があったため企画されました。TEMについても携わる職員が少数となっている中、本研修で装置運転と実験支援の一端に触れTEM支援業務への関心を高めてもらう機会としました。
EBSD実技の樹脂包埋実習では、講師が日常業務で行っている小型試料や異形試料に対して安価に対応できる包埋方法を紹介し、参加者に実際に体験してもらいました。機械研磨実習ではマンツーマン形式で研磨方法を丁寧に指導しました。また、樹脂包埋と機械研磨の必要性や使用器具についても解説しました。EBSD測定実習では、参加者自身が研磨した試料を用いて測定を行い、データの信頼性や解釈の仕方について学びました。TEM研修では、収差補正電子顕微鏡を用いた原子分解能像の取得について学びました。この研修では、観察視野における結晶方位の精度が作業効率とデータ品質に大きく影響を与えるため、教材にEBSD測定とFIB加工で結晶方位を調整した試料を用い、TEM像の取得作業をライブで紹介しました。見学した参加者は、試料準備工程の重要性と継続的な技術向上の必要性を理解することができました。
今回の研修は業務に直結する内容であったため、参加者は非常に熱心に研修に取り組み、多くの質問も出されました。研修終了後には、参加者が自身の受けた依頼EBSD分析に対応するため本研修で使用した研磨装置群を使用しており、実務に生かせる実りのある研修となりました。(受講者:3名、講師:2名 電子顕微鏡・TEMチーム)
TEM:透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)
EBSD:電子線後方散乱回折法(Electron Backscatter Diffraction)
FIB:集束イオンビーム加工(Focused Ion Beam)