#02

技術とひと

2023.03.08

総合技術部長インタビュー

牛尾総合技術部長は2021年度より人事労務・環境安全・施設担当の理事として本学に着任し、事業支援機構長、総合技術部長も務めていらっしゃいます。牛尾部長は大学に着任されるのは初めてとのことで、技術職員の職場訪問も実施されました。コロナ禍で私たち技術職員と直接会われる機会が少ないので、職場訪問のご感想や技術職員に期待されること、お人柄をお伝えできればと考え、広報担当部会がお話を伺いました。(取材日 2023年1月12日)

大学の中から視えた「多様性」

本日はよろしくお願いします。最初に、本学の理事となられての感想や本学の印象をいただけますか? 東北大学に来てみると、すごいと思えることが沢山ありましたが、あまり皆さんに知られていないことが多い印象です。ですので、良さがなかなか外に伝わっていないのかなと思います。例えば、「最初の日本の女子大生が誕生した地」であるとか、あるいは研究でも半導体とかメガバンクなど、ユニークな試みをたくさんしている研究の活力がある大学だと感じました。 ここは意外だな、思っていたのとは違うな、という印象があればお願いします。 そうですね。元々大学というのは研究者お一人お一人が自分の好奇心で研究をしている場所なので、いろいろな方がいるのだろうとは思っていました。ところが、赴任してみると、実は先生方はもちろん、研究を支えている様々な方がいて、技術職員の皆さんも重要な位置にいますけれど、それ以外にも、例えば知財関係や産学連携などで外部人材を沢山招き入れており、本当に多様な方がいると感じました。大学というのは、思った以上に様々な立場の方がいらっしゃるのですね。 研究面でも大学赴任前にイメージしていたよりも、とても多種多様な研究が行われていて、一般には知られていないけれども高い業績を上げている方が多数いらっしゃいました。例えば、三神峯の電子光理学研究センターの加速器を視察する機会がありましたが、そちらでも技術職員の方が働いていますが、想像を超えた世界でしたね。 やはり、大学の外からの印象と中から視る印象はかなり違うのですね。次は総合技術部についてですが、総合技術部の印象と、期待されていることなどを教えてください。 東北大学の総合技術部は、先生と1対1の関係から、もう少し幅広く全学的に必要なサポートをする体制を整えていこうという方向で取り組んでいることは、とても素晴らしいと思っています。しかしこの方向にも様々な課題があり、まだまだやらなければいけないことが沢山あります。大学全体として必要なところに必要なサポートスタッフがしっかり就くという形で、大学の研究力全体を上げていくという方向に更に進めていければいいと思っています。 また、今、国の事業を活用して進めていますが、技術職員の皆さんのキャリアパスをもう少し「見える化」できるよう、総合技術部の理念が一人一人にとってどのようなものなのかということを、より分かりやすくしていきたいですね。そうすることで、技術職員の皆さんが今以上に元気に働いてもらえると思っています。 先ほど電子光理学研究センターを視察されたと伺いましたが、他にもいくつかの職場訪問をされたそうですね。実際に現場をご覧になっての印象や感想などがありましたら教えてください。 技術職員の業務でパッと浮かぶイメージは大型装置や最先端の装置の管理ですけど、装置 管理に留まらず、得られた研究データの分析まで行っている方や、工場で実験装置を自作される方などもいて、本当に多種多様な業務を担われているのだなと感嘆しました。 また、学生指導においても技術職員が相当の役割を担っているということも知り、意外というか、そういう仕事もあるのだなという気付きがありました。他にも、動・植物に関わる業務など、装置管理やものづくりとは全く違う類いの業務もあり、技術職員の業務の多様性には目を見張るものがあります。 部局によっては、料金徴収や予算管理も技術職員が行っている場合があり、これは本当に技術職員の仕事なのかなと思うような部分まで担っている。現場のニーズに応えるということも必要だと思うのですが、そこをもう少しうまく整理してさらに進めていけたらなと思いました。 牛尾部長がおっしゃる通り、今の技術職員は部局のニーズに合わせて働いている部分も大きいのですが、技職職員に関連した部局からの要望がありましたら、教えてください。 私のところへ届く要望は、「人を増やして欲しい」という内容に尽きるかな。他に(皆さんへの要望ではないのですが)人事評価を総合技術部で実施することになりましたが、実際に働いている場所はそれぞれの部局じゃないですか。 そうすると、部局としての評価をもう少し反映させてほしい、別の言い方をすると「総合技術部だけで分かるのですか」、「そこは我々の方が分かる」とおっしゃる先生方もいます。しかし、そこは同じ職種として見てどうなのかということと、その場で働いている人の目線で見てどうかの両方だと思います。今も仕組みとしては部局のご意見も聞けるようになっていますので、そこを上手くミックスして調整すればいいのかなと思っています。部局側も技術職員は自分達のものだという意識がまだ払拭しきれていないのかとも感じます。 「総合技術部」と「部局」という組織の中で技術職員は働いているわけですが、牛尾部長がお考えになる「良い組織」とは、どのようなものがあるのでしょうか。

これは多分、どのような職場、どのような仕事でも一緒だと思うのですが、やはりコミュニケーションをとりやすいということがとても大事だと思っています。年齢を重ねると意見や注意をしてもらえる機会が減ってしまいますが、若い人たちが上司や年長者に対して意見を率直に言える、そういう人間関係を作ることが大事ですし、何歳になっても人からの意見というのは自分を成長させてくれる糧だと思っています。仕事を進める上でも上の人に対して遠慮や萎縮があると、組織としての問題点が見過ごされてしまう危惧もあります。相談しやすい、話しやすい、コミュニケーションしやすい風通しのよい職場環境、これが一番大事かなと思います。

 

コミュニケーションということですと、これまでは同じ部局であっても隣の技術職員の業務内容を知る機会がないということも珍しくはなかったですが、総合技術部ができてからは、違う組織の方や同じ職種でもキャンパスが異なる方と交流する場や機会が増え、それも技術職員の成長に繋がっていると思います。 そうですよね。研究室単位で孤立してしまうのではなく、他に相談できる人達がいるというのは大事ですよね。それだけでも総合技術部があって良かったですね。 ここ数年はコロナ禍で、技術職員と対面でお話をしていただく機会がありませんでしたので、この場で我々、技術職員に何か一言いただけると嬉しいです。 今は、挨拶もオンラインですものね。そうするとあの人は誰だろう?ってなりますよね。 本当に東北大学の研究力は技術職員の皆さんの力に掛かっていると思っていますので、ぜひそれぞれの持ち場で力を発揮できるよう、私も環境整備の面でしっかりサポートしていきたいです。何かあれば現場にも出向きます。皆さんの声を直接聞く機会を設けることもできればいいなと思います。

人と交わり、リフレッシュをしながら

せっかくの機会ですので、牛尾部長のお人柄もお伝えしたいと思います。疲れた時のリフレッシュ方法などを伺わせてください。 なるほど、難しい。リフレッシュは食べるのが一番でしょうか。あとはお風呂や温泉ですね。それが私のリラックスタイムです。 牛尾部長はスマートでいらっしゃるので、お食事が一番のリフレッシュとは意外です。仙台でこれが美味しかったというものはありますか。 仙台というと、牛タンが有名ですけれど、地元の方に教えてもらったせり鍋がとても好きですね。あとはお酒も好きです。お酒は健康のために節制しているのですが、それがなければどんどんいただいてしまいます(笑)。 牛尾部長はこれまで関東で勤務されてらっしゃったとのことですが、仙台の印象を教えてください。 出張や旅行で何回か来たことがあるくらいで、長期間にわたる滞在は初めてです。仙台はとても過ごしやすいです。ただ、冬の寒さだけはこたえますね。2、3日前も雪が降りましたが、赴任前の勤務地ではなかなかないことでした。 仙台が過ごしやすいと思うのは、いろいろなところがコンパクトに纏まっていて、それこそ温泉にも行きやすいし、美味しい食材が安く手に入ることでしょうか。水産物も豊富ですし、食べ物が好きな私としては、そこはとても嬉しいポイントですね。

また、人もそんなに多過ぎず、過ごしやすい。絵画を見るのも好きで、県立美術館などの特別展にも行きました。東京での特別展は大行列ですし、日時指定券が導入されていることも多いです。ところが仙台ではその日に思い立って行っても見ることができます。しかも絵の前で佇んで、ぼーっとしていても大丈夫。そういうところが大感動というか、とてもいいなと。東京より仙台で見た方がいいです。美術館でゆったり過ごせるっていうのも、とても良いことと思います。そういう意味のストレスなどは感じないです。 あと、人柄という話で、1点だけ自分が一番好きなことをアピールしていいですか。 ぜひお願いします。 趣味というか、サッカーがすごく好きで、見るのも、やるのも。審判資格も持っています。 自分の子供がサッカーをやっていたので、小学生の試合の審判をやっていました。昨年はワールドカップ観戦に忙しかったです。 じゃあ、不眠不休で…。 (笑) 見るのもやるのも、ということは、以前からサッカーをやってらっしゃるのでしょうか。 私は、どちらかと言うと世代的に野球世代で、子供の時も草野球ですけど好きでやっていました。当時はサッカーは点が入らなくて面白くないなと思っていました。子供のサッカーをきっかけにJリーグも見に行ったら面白くて、すっかりサッカーに転向してしまいました。 最近は、ウォーキングサッカーと言うのをやっています。あまり知られていないと思いますけれど、フットサルのような小さなコートで、走るとファウル、身体的接触もダメ。要は安全にできる。小さい子どもから老人まで、老若男女問わず楽しめるサッカーです。 私が参加しているチームでは小学生の女の子から多分私が最年長かな。老若男女、一緒に試合をしています。子供も大人も、というのも楽しいので、興味がある方がいらっしゃれば是非。コートをどこか予約して下されば私が伝授いたします。皆さん、本当にすぐにできますので!
ぜひ、ウォーキングサッカーを普及したいと思っていますので、よろしくお願いします。
ここまでお話を聞ける機会をいただいて、牛尾部長のお人柄を身近に感じることができました。ありがとうございました。

 

撮影・取材:広報担当部会取材班

Profile

  • 牛尾則文
    うしお・のりふみ
    人事労務・環境安全・施設担当理事
    総合技術部長
    1991年文部省入省。文部科学省高等教育局私学部参事官や研究振興局学術機関課長などを歴任し、2021年9月より東北大学理事に着任。趣味は温泉巡りやウォーキングサッカーなど。